オイルのお話4 ~自動車用オイルは使えるか~

自動車用のオイルをバイクに使うお話です。


バイク用オイルに比べて種類も豊富で価格も安い自動車用オイル。
これをバイクに使ったら・・?ダメ?大丈夫?

結論から先に書きます。

バイクに使える自動車向けオイルとバイクに向かない自動車用オイルがあります。
エンジン構造によっては自動車用オイルがそのまま使えるバイクもあります。


つまり、オイル次第、バイク次第な訳です。
これじゃよくわからないですよね。具体的な選び方とその判断ポイントについて説明します。


先の記事では、オイルの規格について説明しました。
SAE粘度についてと、JASO T903規格についてです。

車のオイルでもSAE粘度の表示は同じです。(というかこちらが元です)
JASO規格のMAとかMBというのは自動車オイルにはありません。これはバイク専用規格です。

自動車オイルにはAPI規格というのがあります。
SA、SB、SC、SD、SE、SF、SG、SH、SJ、SL、SM SN というグレードで、アルファベットが後にいくほどグレードが高いです。

今時、安いオイルでも性能が高く、そこらへんでノーブランドの激安オイルを買ってもSG~SLが最底辺です。
ココ重要です。あとでテストに出ますw

さらに別の規格があります。ILSAC規格という省燃費の規格です。
GF-1、GF-2、GF-3、GF-4、GF-5など数字が増えるほど省燃費なオイルというものです。


ここまで規格が3つ出てきました。
最初に説明した SAE粘度 10w-30 など
次はに説明した API規格 SJ,SGなど
最後に説明した ILSAC規格 GF-4など


自動車用オイルには、主にこれら3つのオイルの規格がかかれてます。

具体的な商品を例に説明します。
そこらへんのホームセンターあたりでも手に入る安オイルの代表

GTXDCT10W30_106x150.jpg

カストロール GTX DC-TURBO 10w-30
API SM/CF ILSAC GF-4  SAE 10W-30
タイプ:鉱物油

APIは SM/CF と書かれてます。 つまり、SMグレードです。
CFというのはディーゼルのAPI規格なんで無視して良いです。このオイルは良くあるガソリン車ディーゼル車兼用な商品なのです。
SAE粘度は 10w-30
ILSAC規格はGF-4です。


この例に挙げたオイル、カストロール GTX DC-TURBO 10w-30 はバイクには使えません。
ダメなオイルの代表例です。


何故、例に挙げたかというと、ダメなオイルはみんなコレに似た表記なのです。


具体的に何がダメなのか。主な理由はILSAC規格なのです。

ILSAC規格は省燃費の規格と説明しました。GF-1~GF-5という表記です。
GF-4というグレードのこの カストロール GTX DC-TURBO ですが、
この省燃費成分がバイクのクラッチを滑らせるのです。

自動車はマニュアルならMTオイル、ATならATFというクラッチやギアオイルなど専用に独立したオイルで潤滑してます。
なのでオイルに添加された潤滑成分によってフリクションロスを低減し燃費向上するように仕向けてます。

自動車と違いバイクのエンジンは構造上一つのオイルで全ての潤滑をまかなっています。
そのために自動車用のオイルをバイクに使うと、クラッチが滑ってしまうと言われてます。
実際にクラッチが滑るなんて、そこそこパワーのあるバイクだけじゃないかと思いますが・・。
このクラッチが滑る成分は、主にILSAC規格のために添加された省燃費性添加剤なのです。

つまり、オイルの規格表示にGF-1,GF-2,GF-3,GF-4,GF-5の表示があるものは基本的にバイクには向きません。



ILSAC規格の表示が無いオイルは大丈夫なのか?
このILSAC規格は1990年に出来た規格らしいです。つまり、昔の安い普通のオイルにはGF-xとか書いてなかった。
高級オイル以外はそんな添加剤は入ってなかったわけです。

今から15年ぐらい前、安オイルはAPI規格はSGぐらいで当たり前だったらしいです。
まだバイク専用のJASO T903規格が無かった1998年より前、バイク用オイルってのはメーカーがそう銘打って売ってるだけで、中身は自動車用オイルとほとんど同じでした。
今現在だって基本的には同じものです。JASO T903規格が出来たから、MAやMBを取得しているだけです。

つまり、バイク用オイルってのは、
製造段階で自動車用に向けた省燃費向け潤滑成分を入れていないオイルなのです。


いまでも安い自動車オイルにはILSAC規格を取得していないオイルがあります。
GF-xとか書いていないオイルです。

規格を取得していなくても、独自の潤滑剤を添加している自動車用オイルもあります。
しかし、商売上は高品質をアピールする意味で規格取得をしない理由が少ないので、
規格表示が無いオイルはほとんど添加剤が入っていないと考えられます。

さらにAPI規格でSGまでのオイルは、確実に潤滑添加剤が入っていません。
SJ,SLグレードのオイルでも潤滑剤が入っていないオイルがあります。

つまりGF-xと書いてないオイルで、SG,SJ、SLグレードなら、使える可能性が非常に高いのです。



実は、スクーターは例外で自動車用オイルがそのまま使えます。

50ccから大型まで、スクーターは色々ありますが、スクーターは遠心クラッチです。
エンジンの構造上、クラッチがオイルに浸かってません。
その構造はまさに自動車にそっくりなのです。
スクーターにはGF-xの表記がある安い自動車用オイルを気にせず使えます。ある意味一番お得ですね。


自動車用、バイク用というように商品を分けて販売しているのは、メーカーの販売上都合です。
車に比べて販売量が圧倒的に少ないバイク向けオイル。
それならバイク専用と全面的にアピールして付加価値をつけ、ブランド化して、自動車用オイルより高い価格帯で販売しようというメーカー側の思惑の結果なのです。

何度も書きますが、自動車用オイル、バイク用オイル。元々はほとんど同じものです。
実際に今現在でも、自動車バイク兼用とメーカーが銘打って販売しているオイルはあります。

oil_blaze10W40.jpg

ガルフ ブレイズ
http://www.gulf-japan.com/oil_blaze_series.htm

あの有名なガルフオイルです。日本じゃあまり有名じゃなくなってきましたが、あの世界のオイルメジャーのひとつ。
シェブロングループの販売オイルです。

このオイルはAPI規格、SAE粘土、JASO T903規格のMAを取得してます。
ここ大事です。
自動車用オイルなのにバイク専用規格のJASO T903 MAを取得しているんですよ?

バイク専用オイルというのが、なぜバイク専用なのか。
もう理解できましたよね?



オイル選びのポイントです。

オイルのパッケージにある文字で確認してもOKですが、わかりやすいマークがあります。

900-321-001.gif 
API規格はドーナツマーク
よく見て下さい APIグレードとSAE粘度が書いてあるでしょう?ここでSG~SJあたりかを確認します。

最近の自動車はハイブリットやらで省燃費なので、0w-30とか非常に柔らかいオイルが増えてきました。
こういうオイルは粘度的にバイクには使えません。
バイクは車より高温になるので、このようなオイルを使うとピストンの油膜が切れて潤滑という本来のオイルの役目が果たせません。


900-321-002.gif
ILSAC規格はスターバーストマーク
このマークがあると、ILSAC規格のグレードが高い証明です。つまりGF-4とかなわけです。
だからこのマークがあるオイルはバイクには向きません。





まとめると

バイク用として使える自動車用オイルの調べ方。

1、SAE粘度はバイク用オイルと同じ粘度を選ぶ。

2、APIグレードはSG、もしくはSJ、SLあたりを選ぶ。

3、ILSAC規格でGF-1,GF-2,GF-3、GF-4、GF-5の表示が無い。
  スターバーストマークが無い事。



見方はわかりましたか?APIでグレードを確認、SAE粘度を確認して、ILSAC規格を確認しましょう。


この条件を満たす自動車用オイル。それがバイクに使えるオイルです!!


ちなみに自動車用以外の産業用オイルなどは、また別問題なので・・・。
使えるものもあるでしょうけど判別が難しいし最低20Lペール缶やドラム缶売りだったりするので止めたほうが無難です。


次は具体的にバイクに使える自動車用オイルを紹介します。


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コメント

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湿式クラッチばっかりなのか?昔は乾式も、二次クラッチもあったのに。

Re: 同じオイルでも

早速のお返事、丁寧なご回答ありがとうございました。
内容よくわかりました。
念のため少々補足しておきますが、
当方の住んでいるところのホームセンターで販売しているGTX DC-TURBOには、
どういったわけかスターバーストマークがついておりません。
ホームセンターのため古い在庫品、もしくは旧パッケージ品なのかもしれませんが
実際そういったものが存在します。
また、先日オートバックスに行ったところ、
どこのブランドかは忘れましたが、やはり同商品でもマークがあるものとないものがありました。
マークがあるからどう無いからどうということではないことはご説明でわかりましたが
参考までにそういったものが存在するということはご承知ください。
この度はとてもためになる情報ありがとうございました。
お互い安全運転でよいバイクライフを満喫しましょう。
では失礼いたします。

Re: 同じオイルでも

>あすまさ さん
はじめまして、こんにちは。
GTX DC-TURBOにスターバーストマークが無いもの、というのが何なのかわかりませんので判断はできません。
旧バージョン?と言っても、そんなに古いものがいつまでも店頭に並んでいるとも思えませんし・・。
ブログには、ILSAC規格=スターバーストマークのような事を書きましたが、世間に流通しているオイルでILSAC認証を取得していないオイルは色々と多くあります。

APIとILSACの認証に関しては、Eolcsというアメリカの石油協会が認証しています。
マーク表示するには、高額なEolcs認証取得費用がかかるらしいです。
販売するメーカーとしては、実際のオイルの性能は別にして、コストメリットが無いと判断されれば、あえてスターバーストマーク無しで販売というオイルも当然あるでしょう。
また、認証基準から外れるような添加剤が配合されているとかいう場合もマークが無い理由になります。
上記のような理由でマークが無いオイルでも高性能なワコーズのようなオイルもあれば、スタンダードな性能でリーズナブルなものもあるようです。

最近の新しいオイルは、スターバーストマークの有り無しだけでは、クラッチに影響しそうな成分が含まれているかどうかの判断が難しくなってきていると思います。

性能的にはILSAC規格並み、またはそれ以上であっても、マークが無かったりするわけです。
適合していない=クラッチが滑らない では無いということです。

四輪用オイルを流用されることが前提であれば、もっと安いスタンダードな鉱物油を頻度良く交換というスタンスで利用されることをお勧めします。

同じオイルでも

初めまして。
当方もバイクのりで、やはりオイル代がばかにならず、
大丈夫かと疑問に思いながらもいつも自動車用の汎用オイルを使っていたものです。
最近愛車のクラッチが滑るような気がしていたのでいろいろと検索していたところ、
はむお様の記事を見つけ、記載されている情報を読み、とてもためになり助かりました。
ところでもしお分かりでしたら教えていただきたいのですが、
例えば、情報にもある”GTX DC-TURBO 10w-30”にも、旧バージョンなのか
スターバーストマークが無いもの(ILSAC規格に適合していない??)がありました。
マークがなくとも、同商品にはマークがあるものもあるので、それらもILSAC規格に適合していると思われますか?
それともマークがなければ適合していないと判断してもよいと思いますか?
お手数ですがもしお分かりでしたら教えてください。
どうぞよろしくお願いします。

面白いネーミング

 十神山は島根県安来市にある山で十柱の神々が宿るところで神無月(出雲では神在月)には登ってはいけないといわれている小さいけれど神聖な山ですね。島根県出身の方に聞いたことがあります。

Re: 『オイルのお話』とても参考に成りました。

>府中のジイサン さん
こんにちは。当ブログをお楽しみ頂けたら幸いです。
また何か思いついたら書きますね。
ありがとうございました。

『オイルのお話』とても参考に成りました。

少し前に友人にバイクを借りて練習し、最近中古車を買ったのですが、オイル交換の間隔が四輪の半分以下でとて早いのと、オイル代金がメッチャ高いので困っていました。こちらの『オイルのお話』を読んで、とても参考に成り、財布がエコに成りました。有難う御座います。 何かもっと『オイルのお話ネタ』が有りましたら、期待して居りますので、宜しくお願い致します。

Re: タイトルなし

>mm さん
クラッチへの影響に関しては、そんなに顕著に影響しないような気がしてます。
気をつけたいのは粘度のほうですね。
0w-20だと高回転で油膜切れて焼きつくかもしれません。

むかし100%化学合成のモービル1(0w-20)をXL125に入れましたが、全くクラッチ滑りませんでした。

はむおさん、返答ありがとうございました。

指定粘度が5W-40なのですが、このグレードの安オイルがなかなか見つからなくて、目にとまったのがXF-08でした。
SMグレードが気になるところですが、自己責任の範囲でまずは試してみようと思います。

※スミックス5W-40も良さそうですね。

Re: タイトルなし

>hiroki00さん
初めまして、こんにちは。

そのオイルを使ったことがある訳ではないので、あくまで一意見として参考になればと思います。

スターバーストマークが無いのはひとつの判断材料になると思います。
とはいえマークが無いからといって影響しそうな成分が無いとは限りません。

グレードがSMなのが気になるところです。
SMになると、ロングライフを狙って潤滑成分が入ってるはずです。モリブデンとか・・・。
とはいえいまどきの安オイルはSM以上が多いんですよね。
このオイル、合成油ですよね?
化学合成油は基油の種類とグレードによって、添加成分の量もバラバラです。
そんなわけで、このオイルの中身がどんなもであるかはわかりません。

使えるかどうかだけ言えば、別に使っても平気だと思いますよ。
何か影響が具体的現象として体感できるかどうかは車両によると思います。

個人的な体験としては、実際にその手のオイルを使って、実際にクラッチが滑ったと体感するような事象に遭遇したことが無いんですよね・・。
滑ってるのに気がついてないだけかもしれませんが。
継続的にそういうオイルを使い続けたことが無いのもありますし、影響が出そうな車両を所有したことがないだけかもしれません。
先月カブにSNのシェブロン5W-30スターバーストマークありを投入して1500km走りましたが全く問題ありませんでした。

4Lで2000円もするなら、私が紹介したもっと安いオイルをオススメします。
シェブロンとか、粘度が欲しいならガルフとか。
安いながら少しでも性能が欲しいなら部分合成油のホンダG2がたぶん一番コスパが良いかと。

はじめまして、オイルについての考察、大変参考になります。
5W-40グレードの自動車用オイルで、バイクに転用できるものを探していたのですが、条件に合致しそうな物を見つけました。

カストロールのGTX XF-08 5W-40
ILSAC表記無し、ドーナツマークの下半分も表記がありません。
ただし、APIグレードはSMでした。
近所のホームセンターで4L ¥1,980で売っています。

条件としてはバイクにも使えそうなのですが、どうでしょうか。
ご意見頂けると助かります。よろしくお願いします。

Re: タイトルなし

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書き間違い、ご指摘感謝です。

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